建設業を営むには

(1)許可が必要なケース
以下のいずれかに該当する建設工事を請け負う場合は、建設業許可が必要です。
〇工事1件の請負代金が下記の金額以上の場合
- ・建築一式工事:1,500万円以上、または延べ面積150㎡以上の木造住宅工事
- ・その他の工事:500万円以上
〇下請契約に基づき工事を請け負う場合
- ・下請金額が500万円以上の工事を請負う場合も許可が必要
建設工事とは
〇建設業法ほか各種法令等から見た建設工事の定義
- ・土木建築に関する工事
- ・土地に継続的に定着(接着)する工作物及びそれらに附帯する設備(機械装置を含む)対するもの
- ・新設、造成、改造、改良、修繕、解体、除却、移設する行為※
〇建設工事にあたらないもの
- ・船舶やトレーラーハウスに対する施工(土地に定着していない)
- ・樹木の剪定・枝払い・管理,除草,(土地に定着するが工作物ではない)
- ・機器の保守点検・管理の業務(上記※の行為に該当しない)
- ・工作物の設計・施工監理業務,地質調査,測量業務( 〃 )
- ・道路維持における除草,路面清掃,側溝清掃,除雪業務( 〃 )
- ・販売用建売住宅,自社屋などを自ら施工(請負でないため、建設業法で除外)
建設業許可の区分

建設業許可の業種①
〇2種類の一式工事
建築一式工事,土木一式工事
〇27種類の専門工事
大工工事,左官工事,とび・土工・コンクリート工事,石工事,屋根工事,電気工事,管工事,タイル・れんが・ブロック工事,鋼構造物工事,鉄筋工事,舗装工事,しゅんせつ工事,板金工事,ガラス工事,塗装工事,防水工事,内装仕上工事,機械器具設置工事,熱絶縁工事,電気通信工事,造園工事,さく井工事,建具工事,水道施設工事,消防施設工事,清掃施設工事,解体工事
〇2種類の一式工事(建築一式工事,土木一式工事)について
これらは、「総合的な企画、指導、調整のもとに建設する工事(補修、改造又は解体する工事を含む)。」であるので、元請(発注者から直接請負う)工事のみ該当。
- ※一式工事の許可を有していても、これに関連しても専門工事の施工はできない。
(例:建築工事業の許可があっても、許可を要する規模の大工工事は受注できない。)
建設業許可の業種②
〇複数の工事が複合的に存在する場合の許可業種
- ・原則各工事業に係る許可が必要。(元請で規模の大きいものは一式工事)
- ・許可を受けた工事に付帯する工事は、個別の許可が無くても付帯工事として施工できる。
○付帯工事の要件
- ・主たる工事に付随して行われる一連・一体の工事である。
- ・注文者の利便や工事の慣行等の観点から一連・一体の工事施工が必要又は相当である。
- ・原則として主たる建設工事の工事価格を下回る。
建設業許可を取得(継続)するために -許可の要件-
①建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有すること
- ・常勤役員等が、適切な経営能力を有すること
(取締役や個人事業主として、5年以上の建設業の経営経験を有するなど) - ・適切な社会保険への加入
②営業所ごとに常勤かつ専任の営業所技術者を配置していること
- ・原則有資格者(施工管理技士,建築士など)
- ・実務経験10年なども可(ただし申請手続きにおいては、厳密な書類での裏付け必要)
③誠実性を有すること
- ・請負契約の締結やその履行に際して不正又は不誠実な行為をするおそれがないこと※
④財産的基礎または金銭的信用を有すること
- ・一般建設業 500万円以上の資金調達能力(更新時は5年間の営業したことにより満たすとされる。)
- ・特定建設業 直前の決算において、欠損額が資本金の20%以下,流動比率75%以上,資本金2,000万円以上,自己資本の額4,000万円以上(要件は更新時等においても全て満たす必要がある。)
⑤欠格要件に該当しないこと
- ・破産者で復権していない、刑罰を受けていない、暴力団などに該当しないこと※
- ※申請者はもとより、役員、営業所の長(令3条使用人)等についても同様。
建設業許可申請手続き
〇申請窓口
知事許可は、都道府県の土木事務所等の所管窓口,大臣許可は主たる営業所所在地の国土交通省各地方整備局です。
〇申請手数料
- ・新規許可 大臣許可 15万円(登録免許税) 知事許可 9万円(収入証紙など)
- ・更新許可 大臣許可 5万円(登録免許税) 知事許可 5万円(収入証紙など)
- ・業種追加 大臣許可 5万円(登録免許税) 知事許可 5万円(収入証紙など)
- ※一般建設業と特定建設業は、それぞれにつき必要です。更新と同時申請など詳しくは窓口にお尋ねください。
〇必要書類
関連リンク集に、四国地方整備局、愛媛県のリンクを掲載しております。ご参照ください。
当事務所では、建設業許可等の手続きに関し、必要書類の収集なども含めて、御社を代理してスムーズな申請手続きでお手伝いさせていただきます。ぜひご用命ください。
建設業許可後の手続き① -各種変更手続きほか-
- 〇許可更新(5年ごと,許可期限の30日前までに提出)
- 〇営業年度終了報告書(決算変更届)
毎営業年度終了後4か月以内に届け出なければなりません。 - 〇各種変更届出など
①経営業務を管理する役員,営業所技術者(専任技術者),営業所の代表者,欠格要件該当
②廃業届,事業者の基本情報(商号,名称,資本金,役員等の氏名,営業所の新設,役員当の就任)
※提出期限 ①は14日以内(許可要件につき厳格),②は30日以内 - 〇事業譲渡及び譲受けの認可,相続の認可
令和5年10月施行の改正建設業法により、事業譲渡、分割、合併において、事前に認可を受けることにより、一定の要件のもとブランクなく許可を引き継ぐことができる手続きが創設されました。また、個人においても相続においても、認可により許可を引き継ぐことができるようになりました。
詳細についてはお尋ねください。
建設業許可後の手続き② -公共工事参入の前提「経営事項審査」と競争参加資格審査-
国や地方公共団体が発注する公共工事を受注するためには、経営事項審査を受審し、総合評定値通知書を取得する必要があります。
そのためには、上述の営業年度終了報告書(決算変更届)に続いて、以下の手続きを行います。
〇経営状況分析
- ・登録分析機関を通じて、財務状況について評価し評点(Y点)を求める手続きです。
〇経営事項審査申請
- ・各許可行政庁(国や都道府県)に対して申請を行い、以下の各項目の評価により、建設業許可業種区分ごとに総合評点(P点)を求める手続きです。
- ・経営規模(X1:完成工事高,X2:自己資本額など)
- ・経営状況分析(Y:前述の結果)
- ・Z技術力(Z:技術者の保有資格など)
- ・その他の審査項目(社会性等)(W:労働社会保険の加入状況,退職金制度,建退協,上乗せ労災,若年技術者および技能者の育成確保,知識技能の向上,ワーク・ライフ・バランスに関する取組,建設キャリアップシテム導入,営業年数,防災協定,法令遵守,建設業の経理状況,研修開発,建設機械の保有状況,ISO認証など)
総合評点(P点)は、上記について複雑な計算式で算出された各項目にウエイトを掛けた次の式で求められます。
P=0.25X1+0.15X2+0.2Y+0.25Z+0.15W
〇競争参加資格審査申請
国や地方公共団体等では、2年に1度、公共工事に参加を希望する事業者に対して「競争参加資格審査申請」の受付を行っています。(随時に途中参加を受け付ける自治体等もあります。)
当事務所では、当該手続きに対するお手伝いをさせていただいております。
建設業関係業務等に関するコンサルティング業務

安全なデータ管理のもと、正確で美しい書類の作成のみならず、評点のシュミュレーションを行うことが可能です。
経審制度や入札制度に対する研究と、これまでの実績に基づくノウハウのもと、経審の評点アップや国や各地方公共団体の格付け(経営事項審査の結果であるP点を含めた独自の評点によりS,A~Dランクなどのランク付けを行うもの)に対する対策など、経営改善のためのコンサルティングも行っております。
また、建設業においては、例えば工事金額による技術者の現場配置義務や、原則書面により記載項目が法定される契約書の作成義務などの責務が建設業法に細かく定められていますが、法令等の違反により建設業法に基づく監督処分、最悪の場合罰則を受けることにより、企業の信頼を大きく損なう事態が生じかねません。
当事務所では、建設業関係業務を長年に渡り数多く取り扱わせていただいた実績と経験をもとに、正しい法令理解とその対応、建設業事業運営のためのアドバイス、担当される社員様に対する研修など、各種コンサルティング業務も行っております。
詳しくは、お気軽にご相談ください。